海外進学に反対する人をサポーターに変える五つの方法

留学

公立高校で教員をやっています。今年秋から、コロンビア大学院に進学します。
教え子から下の質問を受けました。

「親に留学を反対されました。どうしたらいいですか?」

留学するときには、周りのサポートが不可欠。
周りの友人や家族、教員に相談したら、反対されることがよくあります。

信じられないかもしれませんが、30歳になっても、親は心配します。
目標や、やりたいことを止められそうになったとき、どう対応するかをまとめます。

海外進学に反対する人をサポーターに変える五つの方法

結論は、次のとおり。


前提として、なぜ人は新たな挑戦を止めたくなるのかを、理解しておきましょう。
そういうものだと思えれば、気持ちが楽になります。

0.まずは、反対したい人の心理を理解する

何か新しいことを始めようとすると、批判したり、反対したりする人が出ます。
そういう人を、「ドリームキラー」といいます。ドリームキラーは次の二種類。

① 意識的に反対してくる人

悪意を持って、挑戦を否定してきます。
彼らの心にあるのは、嫉妬です。自分より上手くいくことが、いやなんです。

学校で目立っている人を、馬鹿にする人なんかが典型です。
めちゃくちゃ勉強してる人を「ガリ勉」と言って、勉強できない人が足を引っ張ります。

要は、自分が置いていかれてしまうことを避けたい。
だから、「そんなのやっても意味ないよ」「かっこ悪くない?」と、挑戦を否定します。

彼らへの対応はシンプルで、

徹底的に、無視

しましょう。

分かってもらおうとすることも、大変です。
いくら馬鹿にされても、無視し、淡々とやるべきことをやりましょう。

② 無意識に反対してくる人

こちらのタイプは、あなたのことを心配して、挑戦をやめさせようとしてきます。
留学で言うなら、「お金はどうするの?」「治安は大丈夫なの?」という親や教師、恋人、友人です。

彼らはむしろ、「あなたのことを応援したい。でも、あなたの夢には反対なの」という立場です。
その人のことを、自分が信頼している場合も多いので、やっかいです。

TEDで植松努さんは、以下のように言っています。

「みなさんは自分が宇宙開発できると思ってますか?宇宙なんてよっぽど頭が良くないと、すごくお金がかかるって思い込んでませんか?国家事業だって思ってませんか?誰がそれを教えてくれましたか?それはこんなことを教えてくれるのはやったことがない人なんです。やったことがない人が、適当なやらない言い訳を教えてくれるんです。そのせいで僕たちは何をしていいのかわからなくなるんです。何ができるのかもわからなくなってしまうんです。」(「Hope invites | Tsutomu Uematsu | TEDxSapporo」

無意識に批判してくる人の特徴は、その挑戦をやったことがありません。
だからこそ、「あなたのことが心配だから」と、声をかけてくれています。

去年高校の教員として、三者面談をやりました。
子「〇〇大に行きたい」
親「いや、でもね」
というふうに、高校生が応援されていない家庭がありました。

挑戦する人の立場としては、「なんでわかってくれないんだ!」とイライラしてもダメです。
自分のやりたいことをやらせてもらう、分かってもらうには、そのための準備が必要です。

では、「無意識に反対してくる人」への対処法を見ていきましょう。

1.海外進学に反対する人をサポーターに変える五つの方法

(1) そもそも相談しない

これは、ドラゴン桜が分かりやすいです。『ドラゴン桜2』で、桜木先生が東大を受験しようとする生徒に対して、「東大を受けることは親に言うな」というシーンがあります。『ドラゴン桜2』で保護者は、東大クラスへの進級が決まってしばらくしたあとの保護者面談で、初めて知らされていました。

(『ドラゴン桜2』/alu.jp)
新たなことを始めるとき、親に何も言わずに始める、というのはありです。
大学から合格の結果が来てからの相談でもいいし、小さな成果(英語のスコアがとれてる)が出た段階でもいいです。

そもそも、「周りの完全同意を得てから、動き出そう」としていると、なかなか海外進学の準備をスタートできません。
動きながら、突破する方法を考えましょう。

(2) 達成している人に会う

信頼している人から「失敗したらどうするの?」「その方法じゃなくてもいいんじゃないの?」と言われると、「たしかに…」と言い返せずに、むしろ納得してしまうことがあります。

そもそも、一番のドリームキラーは自分です。

留学準備をしながら、「だめかも」と思うタイミングは、何回もあります。

それでも、自分だけは「できるはずだ」と信じてください。
そのために、自分の達成したい目標を、すでに実現している人に会いましょう。

成功までの道のりがイメージできます。憧れを持てて、ワクワクします。
「こうやってうまくいった人もいる。私はこういう人みたいになりたい!」と、自分の決断に自信を持つことができます。

私は、HeroMakersに参加して、寧々さん、Joseph Jeongさん、Christina Qiさん、AJ Perezさんの話を聞いて、グローバルな舞台で働くことにワクワクしました。

彼らが、日本の大人のイメージとまったく違いました。
自由で、楽しそうに生きていて、夢を語ってくれました。

「海外進学したい」という思いは、HeroMakersでの起業家の方々との出会いで始まりました。
その後も何とかやり切れたのも、この原体験があったからです。

直接会うのが一番ですが、今はYouTubeなんかで動画を探せば、「【留学10年目】英語力0の私が10年で日本人失格のレッテルを貼られるまの道のり」「【24時間密着】コロンビア大学・アメリカ留学生の一日/ A day in a life of a study abroad student」で、ひたすらアメリカ留学のリアルや、かっこよさが分かります。

周りの友達が日本での就活を始めたり、周りから反対されたりすると、ネガティブなイメージがどんどん沸いてしまいます。
「自分は、海外進学するんだっ!」と思い込むためには、憧れを原動力にしましょう。

(3) 反対される理由をつぶす

相談せずに始めても、いつかは留学することを伝えなければいけません。
そのときは、留学の目的を整理して、直接伝えます。

海外進学の心配事といえば、お金、治安、情報、英語、就職などです。
これらを、自分で調べて、「こうだから、大丈夫!」と反論を用意しておきます。

・お金→奨学金をとる!だめなら、バイトする!大学で働くこともできる!
・治安→寮にいるから大丈夫!
・情報→留学のためのコミュニティ(ねねみそ相談サロンなど)がある!ほぼ、無料!
・英語→いつまでに〇点とる!
・就職→卒業後、こんな職業につけて、収入もこれくらいになる!
・スケジュール→〇月で受験して、〇月に合格が来て、〇月から授業が始まる!

私の失敗例です。
私は、妻にきちんと相談する前に、実家に帰省した食事の場で、家族に言ってしまいました。

妻は、「いついくの?」「お金はどうするの?」「子どもの保活はどうするの?」と不安になり、泣いてしまいました。
それから、何度も説明しました。
一番に理解してほしい人には、時間をかけて説明することが誠意だと気づきました。

(4) 別の情報源で伝える

自分が「なんとかなるから、大丈夫!」と言っていても、「いや、でもさ」と言いたくなるのが、教員や家族です。
そういうときは、自分ではない誰かの声を使いましょう。

いまは、YoutubeやインスタなどSNSがあります。
たとえば、「留学とその後の就活についてのアドバイスに反論」という動画では、世界で働けるようになるとはどういうことなのかを解説してくれています。

sakuraさんのブログ「公立大学を3年で辞めて、海外の大学に進学を決意した理由。」では、海外進学をしようと思った経緯が、書かれています。

日本の大学を出ることと、海外大を卒業することの違いを説明するのって、経験したことない人からしたら、かなりきついじゃないですか。
そんな時に、寧々さんや動画、sakuraさんのブログは最強です。

私は、妻の同意を得るために、「就職・奨学金・グローバル安定志向・国外逃亡・起業などなど留学関係の質問に答えてみた!」を一緒に見ました。
これも、海外進学の趣意説明としてはぴったり。

また、妻の心配としては、「コロナ大丈夫なの?行けるの?」だったんですね。
そういうときは、「今も行ってる人いるよ!」とXPLANEのチャットを見せました。

あとは、妻がインスタを探してくれて、「こんなときでも、留学行ってる人って、結構いるんだね」と、納得してくれた感じがしました。

(5) 成果を出す

留学に行きたい熱意を伝えるには、目に見える成果を出さないといけません。
最終的には、「〇〇大に合格したから、行かせてくれ!」っていうのが、一番わかりやすいですね。

もう少し手前で相談するとすると、留学に行くまでに、クリアしなければいけない壁が5つあって、「4つはクリアして、あと1つなんだよー!」と言えば、本気度は伝わります。
たとえば、英語のスコア、奨学金、大学の合否などです。

私の場合、家のローン返済のためのお金を1年分貯めました(笑)

私の妻は、基本的には、私がやりたいことを応援してくれました。
ただ、妻は「準備期間もあまりないし、フルブライトなんて無理だよね。まあ、コロナが落ち着く頃に行ければね」と、内心は思っていたそうです。

それが、フルブライトに受かったことで、応援してくれるようになりました。
TOEFLも何とか取れて、コロンビア教育大学院から合格をもらえて、「行ってらっしゃい」と言ってくれるようになりました。

いまの子どもが1歳半で、もう一人の子どもが10月に生まれる予定です(つまり、私はアメリカにいるときに、妻が一人で出産という形…)。
にもかかわらず、応援してくれ、ブログのトップ画像も、妻が書いてくれました。
妻に応援してもらえたことが、なによりも力になりました。
感謝しかありません。

私の留学中は、妻の実家にお世話になります。
義理のお父さんに、妻が初めて留学のことを話したときは、ものすごく気まずい雰囲気になったそう。

それでも、妻が一生懸命話してくれたおかげで、今は応援してくださっています。
お義父さんは、定年を迎えて、新車を数年前に買ったばかりでした。

にもかかわらず、新しい家族の移動のためにと、その新車を売って、ワゴン車を買ってくださいました。
これも、感謝しかありません。
絶対に、恩返しをします。

以上、「海外進学に反対する人をサポーターに変える五つの方法」を見てきました。

社会人と学生では、条件が違うところも多いですが、周りに応援してもらうためのステップとしては、同じです。

ぜひ、一つひとつ整理して、海外進学を実現してください。

質問などありましたら、コメント欄か、「お問い合わせ」よりお願いします。

※海外進学に関するまとめ記事は、【費用を抑えたい人】海外大学留学の進め方【エージェント頼り×】をご覧ください。

コメント

  1. 上本和佳 より:

    留学に関してなんですが、私は留学したい気持ちがあってもそれはなんのための留学なのかちゃんと説明できません。
    親を説得するにはちゃんと理由を持つべきとはわかっていますが、今のところ考え中です。

    • yusuketahara より:

      まずは、行きたいと思える気持ちがあるのが、すべて!
      「ちゃんと説明できない自分はだめだ」「留学に向いてないんだ」とか思う必要はありません。
      大人だって、やったことないことを、相手にわかるように説明するのは難しいもの。
      私も、めちゃめちゃ苦労しました。(今も上手く説明できません)
      だから学生なら、「行くんだっ!」って思えるだけで、十分です。

      挑戦しても、しなくても、どっちみち誰かに反対されることはあります。
      だったら、挑戦する方を選びたいし、
      その時に大事なのは、自分の直感だと思う。

      留学に行く理由を言語化するのが難しければ、すでに留学に行った人、行ってる人に話を聞くのが一番です。
      何人か会えば、「こういう人になりたいな」って憧れを持てる。
      詳しく話を聞けば、もっとイメージが具体的になる。
      動きながら考えるのが一番いいと思う!
      大学生活で、憧れを持てる人に出会えるといいね!

      • 中村 より:

        来年度の海外学部進学を決心し、様々な人に会う中で田原さんを知りました。本当に勇気をいつももらっています!!

        学校の先生とは毎日会うほど関わりがある存在にも関わらず、多くの場合、私にとっては割と何を考えているのか分からないという存在でもあります。そんな中、田原さんの現役の教師としての正直な思いを発信する姿をブログなどで知りとても衝撃を受けました。ここまでクリアに思いを発信する高校教師がいるのだと感動しました。
        また、私が感じていた学校教育への漠然としていた思いや変わってほしい姿が、全て明確に言語化されているのを見ていつもとても気持ちが良いです。
        同時に、学校で実際に教える立場の人がそれを認識して、ここまでの行動に移していることを知りとても嬉しかったです。

        この記事に関して言うともっと早く見たかったと思っているほどです。多くの人に届くことを願っています。

        夏からのコロンビア大学院での生活も心から応援しています‼︎ 私も力を尽くして頑張ります。

        • yusuketahara より:

          中村さん

          学生目線でのコメントありがとうございます。
          教員という職業は、授業で正解を教えることが仕事なので、葛藤やもやもやした感情を言語化することは珍しいかもしれません。
          ただ、教員がもっと学生とフラットに対話できたり、失敗や挑戦をシェアできたりしたら、もっと楽しいのになと思って、ブログを書いています。
          そういうところを読んでいただき、嬉しいです。
          中村さんの挑戦も応援しております!