【30歳単身留学中】産まれた娘がNICUに緊急搬送されてから退院まで

コロンビア教育大学院

留学して2カ月が経った。
10月後半は、私の人生にとって大きな意味のあることがあった。

大人の留学は、色んなことが起こる。
そういう環境で留学に行くことの意味を考えるきっかけになると嬉しい。

【30歳単身留学中】産まれた娘がNICUに緊急搬送されてから退院まで

留学中、家族(妻と息子)は、妻の実家で生活をしていた。
10月が出産予定日だったからだ。
留学中の友人から「アメリカで産めばよかったのに!」と言われることもあったが、安心を優先して日本での出産を選択。

10月20日に長女が産まれた。妻は元気。
ただ娘は、そのままNICUに緊急搬送されてしまった。

呼吸がしづらいのと、血液検査で炎症を起こしているとの結果が出たからだ。
それから9日後、無事退院できた。ほんっとーーーによかった。
この9日間はこれでもかと長く感じた。

1.出産~緊急搬送~退院まで

10/20 朝。陣痛があり病院へ。そのまま入院。

昼。分娩台に移動。10分ほどで出産。元気な産声をあげて産まれてくれた。2692g。
妻は抱っこもできずに、娘は保育器へ移動。
私は、助産師さんが撮ってくれた写真と動画をみた。
「フーフー」と短く浅い呼吸をしている。泣くことも辛いみたい。

夕方。肺に水がたまってしまって、酸素が足りないのか、呼吸がしにくいみたい。
妻は一回だけ抱っこさせてもらい、娘は救急車で別の病院のNICUに搬送。
コロナだから両親も入れない。
待てど、病院から連絡がこない。妻も眠れない。助産師さんも情報がない。
しない方がいいと思いつつも、ネットで検索をしてしまう。

妻のメモ「とにかく心配。娘が苦しそうな姿が頭に浮かんで、涙が止まらない。もっと抱っこしてあげたい。お腹すいてないかな。
夫と電話して泣いてしまうけれど、みんながんばってるから、私たちが元気を出さねばと話した」

10/21 昼。病院に電話し、やっと担当の看護師さんにつながった。
生きていることを確認できた。

「出産時一過性多呼吸」の可能性を考え、酸素を送る。
血液検査の異常が見られ、抗生剤を打つ。
ミルクを飲み、消化もできていそう。声を出して泣くこともできている。

夜。妻は助産師さんと相談し、退院を1日早めてもらう。
1日でも早く娘に会ってほしい。

妻のメモ「一緒に退院したかったけれど、息子のことも心配だし、娘にも会いたいし、何より前に進みたい!
ずっとめそめそしていても始まらないから、がんばろう!!」

10/22 チューブから酸素を送ってもらう。チューブを外すとまだ苦しそう。
血液検査の結果は良好。来週の半ば~後半に退院できそう。

妻のメモ「母子同室は難しそうと分かって少しガッカリ。娘が苦しくなく、安心して過ごせるようになるのが1番だと思い直してみた。
『退院』というキーワードが聞けて少し安心。早く会いたい!」

10/23 妻、退院。息子と久々の対面。
そのまま娘の病院へ。週に最大で4回面会できる。その日はまだ点滴をしているため、抱っこできず。

10/24 再び、娘の病院へ。娘のチューブが外れて、妻は娘を抱っこすることができた。小さくて、可愛い。
ただ、血液検査で、CRP(炎症タンパク)とWBC(白血球)の数値が上がっており、抗生剤は続いている。
生まれる前の検査では異常がなかったので、肺に炎症があるのが原因か。市役所に出生届を提出。

10/25 病院へ。呼吸を助けるチューブを外せている。点滴を外して、異常が出ないかを見ている。

10/28 娘に、妻の母乳をあげることができた。
明日、病院に電話して、検査結果がよければ、そのまま退院できるとのこと。
写真で見る娘の顔が、毎日変わる。

10/29 病院に電話。無事、退院できるとのこと!!!!!本当に、安心した!!!!!妻がんばった!!
息子と娘の初対面では「お兄ちゃんだよ。お布団かけてね」と言ったそう。息子も成長しようとしている。

というのが、出産から退院までの出来事。

2.退院できてから感じたこと

お医者さんいわく、早産だと、肺から水が上手く抜けずに呼吸が苦しかったり、血液検査に異常がでたりすることがあるらしい。

息子の出産では、陣痛が来てから産まれるまで30数時間かかった。今回は病院に着いてから2時間弱。
妻の体への負担は圧倒的に少なかった。

一方で、出産に一定の時間をかけることは、水が肺から抜ける役割を果たすなど、赤ちゃんが外の世界に出る準備をさせているようだ。
もちろん、出産に時間がかかったとしても、同じような状況になる可能性もある。
今回の出産で感じたことは、様々な偶然の積み重ねで一人の命があるということだ。

妻に対しては、私が近くにいられず、申し訳ない思いでいっぱいだ。
私が日本にいたとしても、コロナ禍ということで立ち合いはできない。

一人での出産は、不安が大きかったに違いない。
NICUは両親のみが入ることができる。
ママ・パパの二人で面会に来ている家族が多い中、一人で娘に会いに行くことで寂しい思いをさせてしまった。

妻はどれだけプレッシャーや不安とたたかっていたか。
この期間で、妻は声が出づらくなってしまうこともあった。

私が、留学に行かない方がよかったのではないか。
オンラインで授業を受けることもできたじゃないか。
本当にここで学んでいることが正解なのか。

一緒にいられないことの無力感。
一人目の息子が、2歳まで立派に生きていることの尊さ。
私や妻を育てた両親への感謝。

そして、妻のありがたさ。
いろんな感情がごちゃごちゃになって、よく分からなくなる。

ただまぎれもない事実は、妻は立派に、一人の女の子を産んだということ。
四人家族になったということ。
これ以上の幸せはない。

どうすればよかったのか、とあれこれと考えても仕方ない。
娘が生きているという事実のありがたみを噛みしめる。
妻も、息子も、娘も、大好きだ。
これから、家族がもっと幸せになるにはどうしたらいいかを考えて、できることをやっていく。

大人の留学には、家族の問題は外せない。
家族とともに留学する人、単身で留学する人、妻と子どもで留学する人、いろんなパターンがある。

家族と一緒だろうと別だろうと、大変なことは起きる。
それぞれの家族が話し合って決めた留学の形であり、他人がとやかく言えることじゃない。
これから留学に行くことを検討している人の考えるきっかけになれば嬉しい。

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